FAQ

故障かなと思ったら(Armadillo-810)

Armadillo-810で故障かな?と思った時の確認手順を説明します。
確認は下の図のような流れで行います。

本FAQは Armadillo-810 カメラモデル開発セットに含まれる、拡張ボード01 (Aコネクタ用) を接続した状態を想定して書かれています。 故障かどうかの確認は、拡張ボードを接続した状態で行なってください。
本FAQではSDカードを使用します。SDカードを用意してください。

目次

  1. 準備
  2. ACアダプタの確認
  3. ACアダプタの接続確認
  4. Hermitの起動確認
  5. Linuxの起動確認
  6. Linuxへのログイン確認
  7. 問題が解決しなかった場合は?

1. 準備

1-1. 作業用PCにATDEをインストールする

作業用PCにATDE5をインストールします。インストールの手順はArmadillo-810 製品マニュアル 開発/動作確認環境の構築を参照してください。

Armadillo-810に対応したATDEはATDE5です。
1-2. Armadillo-810と作業用PCを開発用USBシリアル変換アダプタで接続する

以下の接続例を参考に、Armadillo-810のCON3と作業用PCを開発用USBシリアル変換アダプタで接続します。

開発用USBシリアル変換アダプタ(Armadillo-800シリーズ対応)のスライドスイッチには、Armadillo-810 のJP1と同じ機能が割り当てられています。
本FAQではスライドスイッチを、以下の図の 1のように設定した状態としてください。

1-3. ATDEでシリアル通信ソフトウェアを起動する

Armadillo-810とシリアル通信を行うために、ATDEでminicomを起動します。minicomは端末内で動作するシリアル通信ソフトウェアです。 "GNOME端末"を起動し以下のコマンドを入力します。

[ATDE ~]$ minicom

シリアル通信ソフトウェアの設定は以下の表を参考にしてください。

項目 設定
転送レート 115,200bps
データ長 8bit
ストップビット 1bit
パリティ なし
フロー制御 なし

もしATDEでシリアルポートが使用できない場合は、FAQ : ATDEでシリアルポートが使用できませんを参照してください。

2. ACアダプタの確認

Armadillo-810に電源を入れる前に、ACアダプタがArmadillo-810で使用できるものか確認します。Armadillo-810付属のACアダプタを使用している場合は問題ありません。そうでない場合は以下の表を参照してACアダプタが適切であるか確認してください。

出力電圧 出力電流 プラグ形状 極性マーク
5V 0.5A以上 EIAJ RC-5320A準拠(電圧区分2)
外径: 4.0mm
内径: 1.7mm
ac-adapter
5V 0.5A以上 EIAJ RC-5320A準拠(電圧区分2)
外径: 4.0mm
内径: 1.7mm
可能であればテスターなどで、ACアダプタの出力電圧が適切であることを確認してください。

3. ACアダプタの接続確認

ACアダプタがArmadillo-810にしっかり接続されているかを確認します。保守モード(オンボードフラッシュメモリのブートローダー)で起動する設定を行い、Armadillo-810にACアダプタを接続します。

ACアダプタを接続するとArmadillo-810のLED1~4が点灯します。

ACアダプタがしっかり接続されていてLEDが点灯しない場合は、製品保証規定を確認の上、交換のお申込みを行ってください。

4. Hermitの起動確認

Armadillo-810のブートローダであるHermitを起動することができるか確認します。 保守モード(オンボードフラッシュメモリのブートローダー)で起動する設定を行い、Armadillo-810にACアダプタを接続します。 以下のようにHermitのプロンプトが表示された場合は問題ありません。Linuxの起動確認に進んでください。

hermit>

もしHermitのプロンプトが表示されない場合はHermitを復旧してください。

4-1. Hermitの復旧

フラッシュメモリに書き込まれたHermitのイメージファイルに問題がある場合はHermitを起動することができません。そのため、HermitのイメージファイルをSDブートを利用して書き替える必要があります。

4-1-1. Hermitのイメージファイルをダウンロードする

フラッシュメモリに書き込むHermitのイメージファイルをダウンロードします。Armadillo-810 ソフトウェアダウンロードからHermitのフラッシュイメージファイル(SDカード用)をダウンロードしてください。

ダウンロードするファイルは loader-armadillo810-mmcsd-[VERSION].binです。

[VERSION]はバージョン番号です。最新のものをダウンロードしてください。

4-1-2. ブートディスクを作成する

SDブートを行うためのブートディスクを作成します。ブートディスクの作成方法については、Armadillo-810 製品マニュアル SDブートの活用を参照してください。

4-1-3. minicomを起動する

Armadillo-810が保守モードで起動したことを確認するために、ATDEでminicomを起動しておきます。

[ATDE ~]$ LANG=C minicom --noinit --wrap --device [PORT]

[PORT]には、ATDEのArmadillo-810を接続しているシリアルインターフェースを指定してください。/dev/ttyUSB0にArmadillo-810が接続されている場合は、[PORT]/dev/ttyUSB0に読み替えてください。

4-1-4. SDカードのブートローダーから保守モードで起動する

まず、保守モード(SDカードのブートローダー)で起動する設定を行います。

次に、SDカード(ブートディスクを作成したもの)を挿入してから、Armadillo-810に電源を投入します。

ブートローダーが保守モードで起動すると、以下のように保守モードのプロンプトが表示されます。

hermit>

4-1-5. minicomを終了させる

minicomを終了させシリアルポートを開放します。

4-1-6. Hermitをフラッシュメモリに書き込む

hermitコマンドを使用してHermitのイメージファイルをフラッシュメモリに書き込みます。hermitコマンドのオプション--input-fileの引数には、HermitのイメージファイルをダウンロードするでダウンロードしたHermitのイメージファイルを指定してください。bootloaderパーティションを更新する場合は、必ず--force-lockedオプションを指定する必要があります。

[ATDE ~]$ hermit erase --region bootloader download \
--input-file loader-armadillo810-nor-[VERSION].bin \
--region bootloader --force-locked --port [PORT]

[PORT]には、ATDEのArmadillo-810を接続しているシリアルインターフェースを指定してください。/dev/ttyUSB0にArmadillo-810が接続されている場合は、[PORT]/dev/ttyUSB0に読み替えてください。

Hermitの書き込み終了後は、再度Hermitの起動確認を行なってください。もし失敗してしまった場合は、Hermitの復旧の手順を最初から確認してください。

5. Linuxの起動確認

Linuxの起動を確認します。

5-1. Linuxの起動オプションを確認

保守モード(オンボードフラッシュメモリのブートローダー)で起動する設定を行ってから、Armadillo-810にACアダプタを接続します。

Linuxの起動オプションが適切に設定されていない場合はLinuxを起動することができません。 setenvコマンドを入力してLinuxの起動オプションを確認します。

以下のようにHermitのプロンプトのみが表示された場合は問題ありません。Linuxの起動を確認へ進んでください。

hermit> setenv
hermit>

もし、以下のようにLinuxの起動パラメータか表示された場合は、Linuxの起動オプションの初期化を行なってください。

hermit> setenv
1: console=ttySC2,115200
2: mem=512M
3: root=/dev/mmcblk0p2
4: rootwait
5: noinitrd
hermit>

5-2. Linuxの起動を確認

ACアダプタを抜き、オートブートモード(オンボードフラッシュのブートローダー)で起動する設定を行ってから、Armadillo-810にACアダプタを再び接続します。

起動ログが表示され、以下のようにログインプロンプトが表示された場合は問題ありませんのでLinuxへのログインに進んでください。

armadillo810-0 login:

もしログインプロンプトが表示されなかった場合は、Linuxの復旧を行ってください。

5-3. Linuxの起動オプションを初期化

Linuxの起動オプションが適切に設定されていない場合はArmadillo-810を起動することができません。以下のコマンドを入力して起動オプションを初期化してください。

hermit> clearenv
hermit>

起動オプションの初期化を行なった場合は、再度Linuxの起動オプションを確認してください。

5-4. Linuxの復旧

使用しているLinuxのイメージファイルに問題がある場合はLinuxを起動することができません。そのためLinuxのイメージファイルを書き替える必要があります。まず、保守モード(オンボードフラッシュメモリのブートローダー)で起動する設定を行ってから、Armadillo-810にACアダプタを接続します。

5-4-1. Linuxのイメージファイルをダウンロードする

フラッシュメモリに書き込むLinuxのイメージファイルをダウンロードします。Armadillo-810 ソフトウェアダウンロードからLinuxカーネルとユーザランドのイメージファイルをダウンロードしてください。ファイル名は以下の表を参照してください。

製品イメージ ファイル名
Linuxカーネル linux-a810-[VERSION].bin.gz
ユーザランド romfs-a810-[VERSION].img.gz

[VERSION]はバージョン番号です。最新のものをダウンロードしてください。

5-4-2. Linuxカーネルをフラッシュメモリに書き込む

hermitコマンドを使用してLinuxカーネルのイメージファイルをフラッシュメモリに書き込みます。hermitコマンドのオプション--input-fileの引数には、LinuxのイメージファイルをダウンロードするでダウンロードしたLinuxカーネルのイメージファイルを指定してください。

[ATDE ~]$ hermit download --input-file linux-a810-[VERSION].bin.gz --region kernel --port [PORT]

[PORT]には、ATDEのArmadillo-810を接続しているシリアルインターフェースを指定してください。/dev/ttyUSB0にArmadillo-810が接続されている場合は、[PORT]/dev/ttyUSB0に読み替えてください。

5-4-3. ユーザランドをフラッシュメモリに書き込む

hermitコマンドを使用してユーザランドのイメージファイルをフラッシュメモリに書き込みます。hermitコマンドのオプション--input-fileの引数には、Linuxのイメージファイルをダウンロードするでダウンロードしたユーザランドのイメージファイルを指定してください。

[ATDE ~]$ hermit download --input-file romfs-a810-[VERSION].img.gz --region userland --port [PORT]

[PORT]には、ATDEのArmadillo-810を接続しているシリアルインターフェースを指定してください。/dev/ttyUSB0にArmadillo-810が接続されている場合は、[PORT]/dev/ttyUSB0に読み替えてください。

5-4-4. ブートデバイスをフラッシュメモリに設定する

ブートデバイスがフラッシュメモリに設定されていないと、先ほど書き込んだ Linuxのイメージファイルが使用されません。以下のコマンドを入力してください。

hermit> setbootdevice flash
hermit>

ここまでの手順が終了した場合は、再度Linuxの起動を確認してください。

6. Linuxへのログイン確認

Linuxにログインできるか確認します。まずは、Linuxの起動確認の手順に従ってログインプロンプトを表示させます。

ここでは、rootユーザでログインします。パスワードの入力時には画面に何も表示されませんが、rootと入力してEnterキーを押下してください。以下のようにLinuxのプロンプトが表示された場合は問題ありません。

ユーザー名、パスワードを変更したイメージを使用している場合は、変更したパスワードを入力してください。
armadillo810-0 login: root
Password: 
[root@armadillo810-0 (ttySC2) ~]#

もしLinuxのプロンプトが表示されない場合はユーザ名およびパスワードを確認してください。

6-1. ユーザ名およびパスワードの確認

ユーザ名またはパスワードに誤りがないか確認します。標準イメージファイル1を使用している場合のユーザ名およびパスワードは以下の表を参照してください。 また、標準イメージファイルを使用していない場合は、Linuxの復旧を参照し、標準イメージファイルをフラッシュメモリに書き込んでください。

ユーザ名 パスワード
root root
guest (なし)

ユーザ名およびパスワードは、それぞれ小文字で入力する必要があります。CapsLockがオフになっていることを確認してください。

7. 問題が解決しなかった場合は?

本手順は、動作モードの設定や使用するイメージファイルにより結果が変わってしまいます。 問題が解決しない場合は、手順に注意し再度確認してください。

手順通りに作業を行い問題が解決しない場合は、製品保証規定をご確認の上、交換のお申込みを行ってください。

Appendix. ジャンパの設定

Armadillo-810ではジャンパの設定を変えることで、起動時の動作と、起動デバイスを変更することができます。起動モードの名称と動作の関係については以下の表を参照してください。

起動モード名称 起動時の動作
オートブートモード Linuxカーネルを起動
保守モード Hermitコマンドプロンプトを起動

ジャンパの位置については、Armadillo-810 ドキュメントダウンロードにある"Armadillo-810 製品マニュアル"を参照してください。

ジャンパの設定は以下の表を参考にしてください。

ジャンパの設定 状態
オープン ジャンパピンにジャンパソケットを接続しない
ショート ジャンパピンにジャンパソケットを接続する
A-1. オートブートモード(オンボードフラッシュのブートローダー)で起動する設定

以下の表を参考にしてジャンパを設定してください。

ジャンパ 設定
JP1 オープン
JP2 オープン
JP3 オープン
A-2. 保守モード(オンボードフラッシュメモリのブートローダー)で起動する設定

以下の表を参考にしてジャンパを設定してください。

ジャンパ 設定
JP1 ショート
JP2 オープン
JP3 オープン
A-3. 保守モード(SDカードのブートローダー)で起動する設定

以下の表を参考にしてジャンパを設定してください。

ジャンパ 設定
JP1 ショート
JP2 オープン
JP3 ショート

  1. Linuxの復旧で書き込んでいるLinuxのイメージファイルが標準イメージファイルです。 ↩︎