Armadillo-X1のWLANコンボ搭載モデルは無線LANモジュールが搭載されています。
ここでは、USBドングルの無線LAN(WI-U2-433DHP/WI-U2-433DMS)を追加して、2系統にしてみました。
下記の手順2までは、ATDE上で実施します。
手順2までの説明にて、カーネルのソースコードのディレクトリは、
ホームディレクトリ(~/)に展開されていることを前提として、下記のように表記しています。
~/linux-4.9-x1-at[version]
上記のように記載されている箇所は、カーネルのソースコードを置いているディレクトリと、
使用しているバージョン番号に応じて読み替えてください。
1. loadable moduleを有効にしたカーネルへ書き換え
カーネルコンフィギュレーションを設定するため、コンフィグ画面を開きます。
atmark@atde7:~/linux-4.9-x1-at[version]$ make ARCH=arm menuconfig
下記のようにloadable moduleを有効([*]が付いた状態)にします。
Kernel Configuration [*] Enable loadable module support
上記設定後、カーネルをビルドします。
2. USBドングルの無線LANのドライバの準備
無線LAN(WI-U2-433DHP/WI-U2-433DMS)を動かすためのドライバのソースコードをダウンロードします。
atmark@atde7:~$ git clone https://github.com/gnab/rtl8812au.git
ドライバをビルドします。
atmark@atde7:~$ cd rtl8812au atmark@atde7:~/rtl8812au$ make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux-gnueabihf- KSRC=~/linux-4.9-x1-at[version]
補足)"KSRC"は、カーネルのソースコードのディレクトリを指定します。
ここでは、例として、上述のカーネルのソースコードの場所(~/linux-4.9-x1-at[version])を指定しています。
ビルドにより、無線LANのドライバ(8812au.ko)が生成されます。
以下の手順3以降は、Armadillo-X1上で実施します。
3. カーネルの書き換え
手順1で生成されたカーネルイメージ(uImage)で、Armadillo-X1のカーネルを書き換えます。
手順4のために、インターネットに接続可能なネットワークにArmadillo-X1を接続して、再起動します。
4. 必要なパッケージのインストール
必要なパッケージをインストール(※)します。
※)インストール済みの場合はアップデートになります。
root@armadillo:~# apt-get update root@armadillo:~# apt-get install wpasupplicant root@armadillo:~# apt-get install wireless-tools usbutils
5. udevの設定
無線LAN(WI-U2-433DHP/WI-U2-433DMS)を認識した際に、wlan1という名前にするようにします。
備考)
Armadillo-X1のWLANコンボ搭載モデルは、搭載されているWLANモジュールの無線LANの名前がwlan0になります。
udevルールのファイル
/etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
を下記の内容で作成します。
補足)ファイルの内容は、WI-U2-433DHP、WI-U2-433DMSで異なります。
WI-U2-433DHPの場合
SUBSYSTEM=="net",ACTION=="add",ATTRS{idVendor}=="0411", ATTRS{idProduct}=="029b",NAME="wlan0"
WI-U2-433DMSの場合
SUBSYSTEM=="net",ACTION=="add",ATTRS{idVendor}=="0411", ATTRS{idProduct}=="0242",NAME="wlan0"
上記設定を有効にするために、udevルールをリロードします。
root@armadillo:~# udevadm control --reload-rules
6. 無線LANのコネクションの設定
ここでは、例として、下記のように設定してみます。
Armadillo-X1のWLANコンボ(wlan0):アクセスポイント
USBドングルの無線LAN(wlan1):ステーション
6.1. Armadillo-X1のWLANコンボ(wlan0)をアクセスポイントに設定
下記を参考に設定します。
Armadillo-X1製品マニュアル
21.4. AR9462モジュールを使った無線LANアクセスポイントの構築例
6.2. USBドングルの無線LAN(wlan1)をステーションに設定
ここでは、例として、下記のような対向のアクセスポイントを想定して設定します。
SSID:testid パスフレーズ:testpass 暗号化方式:WPA-PSK(AES)
上記に応じてwlan1の設定を行います。
root@armadillo:~# nmcli connection add type wifi ifname wlan1 ssid testid root@armadillo:~# nmcli connection modify wifi-wlan1 802-11-wireless.mode infrastructure root@armadillo:~# nmcli connection modify wifi-wlan1 802-11-wireless-security.key-mgmt wpa-psk 802-11-wireless-security.psk testpass
以上で準備は終了です。
手順5で、udevに設定した無線LAN(WI-U2-433DHP/WI-U2-433DMS)をArmadillo-X1のUSBに接続して、再起動します。
7. 無線LANのドライバ(8812au.ko)のインストール
手順2で生成された無線LANのドライバ(8812au.ko)をArmadillo-X1に置きます。
下記コマンドでインストールします。
root@armadillo:~# insmod 8812au.ko
8. USBドングルの無線LANをアクセスポイントに接続
手順6.2で設定したUSBドングルの無線LAN(ステーション)をアクセスポイントに接続するには下記コマンドを実行します。
root@armadillo:~# nmcli connection up wifi-wlan1