FAQ

高温時に Armadillo の処理能力は落ちますか?

Armadillo は製品仕様の範囲内では CPU のサーマルスロットリングが働かないようにしているため、動作クロックは変化しません。そのため、高温時でも処理能力は落ちません。
Armadillo X1, Armadillo-IoT G4 および、比較対象に Raspberry Pi 4 を使用して、動作環境温度を20℃〜70℃まで変化させたときの、ベンチマーク結果および SoC 温度を以下に記載します。

測定条件

ベンチマーク測定には UnixBench v5.1.3 を使用し、全ての CPU コアでベンチマークを動かしたときの Dhrystone 2 using register variables の値から DMIPS に換算しました。
Raspberry Pi 4 のみ CPU のサーマルスロットリングが働くため、 CPU クロック周波数を測定しました。CPU クロック周波数は1秒間隔で5分間測定した値の平均値としました。
また、ベンチマークを動かしている状態で、SoC の表面温度を熱電対(RKC ST-51S-100-C)で取得し、SoC の温度をターゲットボードの SoC に搭載されている温度センサから取得しました。

各製品は標準販売の状態で測定を行ったため、Armadillo-IoT G4 のみケース有り、Armadillo-X1 と Raspberry Pi 4 はケース無しの状態で測定を行いました。

以下に使用した機器および、各製品の Linux カーネル、ブートローダーのバージョンを示します。

使用機器

製品名 型番
マルチメーター MASTECH MAS-345
温度センサ RKC ST-51S-100-C

Armadillo X1

ソフトウェア バージョン
Linuxカーネル v4.9.133-at27
ブートローダー v2016.07-at23

Armadillo-IoT G4

ソフトウェア バージョン
Linuxカーネル v5.10.161
ブートローダー v2020.04-at11

Raspberry Pi 4

ソフトウェア バージョン
Linuxカーネル v5.15.84-v8+
ブートローダー c2f8c388c4ee37ad709ace403467d163e8dd91ce

測定結果

以下に各製品で環境温度を変化させベンチマーク測定を行った結果および、Raspberry Pi の CPU クロック周波数を示します。

環境温度[℃] Armadillo X1 Armadillo-IoT G4 Raspberry Pi 4
Dhrystone [DMIPS] Dhrystone [DMIPS] Dhrystone [DMIPS] CPU Clock [GHz]
20 4219 19967 34820 1.50
30 4219 19970 35567 1.50
40 4218 19964 35410 1.50
50 4219 19969 34711 1.50
60 4215 19967 31444 1.15
70 4219 19970 14101 0.59

次に、環境温度を変化させたときの、SoC の表面温度と温度を測定した結果を示します。

環境温度[℃] Armadillo X1 Armadillo-IoT G4 Raspberry Pi 4
SoC 表面温度 [℃] SoC 温度 [℃] SoC 表面温度 [℃] SoC 温度 [℃] SoC 表面温度 [℃] SoC 温度 [℃]
20 31 31.09 34 38.00 51 52.58
30 46 43.27 45 43.00 67 74.01
40 56 51.97 55 55.00 78 83.75
50 64 61.53 66 71.00 81 85.21
60 76 71.11 75 81.00 85 87.65
70 86 78.94 88 93.00 94 96.90

表および図より、Raspberry Pi は高温時に CPU のサーマルスロットリングが働き、性能が落ちていることが確認できます。一方、Armadillo は 高温時にも性能が落ちていないことが確認できます。
また、20℃〜70℃の温度において、Raspberry Pi よりも Armadillo の方が SoC の温度は低いことが確認できます。