Howto

高温環境に設置する場合に注意すべきこと

このHowtoでは、Armadillo-IoT G3/G3L,Armadillo-X1(以下Armadilloと記載)の設置場所が高温環境である場合に注意すべきことをご紹介します。

Armadilloを設置する際、周囲の温度環境については動作温度範囲を参考に選定すると思われます。 各動作温度範囲は以下の表の通りです。

製品名 動作温度範囲
Armadillo-IoT G3 -10~+60℃(基板単体:-20~+70℃)
Armadillo-IoT G3L -10~+50℃
Armadillo-X1 -20~+70℃

動作温度範囲の上限に近い環境に設置する場合、Armadilloが高温となりやすくなり、パフォーマンス低下やシステム停止の可能性があります。
上記可能性を減らすため、参考情報として高温環境に設置する場合の注意点を記載します。

サーマルシャットダウン前に温度を低下させる

Armadilloにはi.MX 7Dualの温度センサが実装されており、i.MX 7Dualの温度を測定しています。
測定温度が105℃を超えた場合、機器の破損を防ぐためサーマルシャットダウンが発生し、システムが停止します。

周辺温度が高温である状態で高負荷の処理を長時間行うと、周辺温度が低温である場合に比べて短い時間でサーマルシャットダウンが発生してしまいます。 シャットダウン後、温度が低下しても自動的に復旧はせずシステムが停止した状態となります。 サーマルシャットダウンによるシステム停止を発生させたくない場合、i.MX 7Dualの温度をお客様が作成したシステムで監視し、105℃となる前に温度を低下させる実装を設計すると良いです。

2024年2月にリリースしたLinux-6.1-x1-at1より、サーマルシャットダウンの発生する仕様が「測定温度が105℃となった場合」から「測定温度が100℃となった場合」に変更となっています。詳細は以下アップデートニュースをご確認ください。

https://armadillo.atmark-techno.com/news/20240228/software-update-aiotg3

i.MX 7Dualの温度測定方法

温度の取得は、/sys/class/thermal/thermal_zone1/temp をcatすることで取得可能です。

[armadillo ~]# cat /sys/class/thermal/thermal_zone1/temp
34570

表示された数値はミリ℃であるため、上記数値は34.57℃となります。

thermal-monitor

Armadilloの温度監視方法として、thermal-monitorというアプリケーションが存在します。
apt-getから取得可能で、i.MX 7Dualの温度を監視してアプリケーション制御により発熱を抑えることができます。
詳細は製品マニュアル「6.7.2. 温度を監視する」をご確認ください。

発熱する部品を停止させる

Armadilloの発熱する部品に該当する機能を停止させることで、温度を低下させることができます。
以下にArmadilloに搭載されている発熱部品を記載します。

  • Ethernet
  • 無線LANモジュール
  • 3G/LTEモジュール
  • CPU

以下に各部品の温度低下方法について記載します。

Ethernet,無線LANモジュール,3G/LTEモジュール

nmcliコマンドなどを用いて停止させることで、温度を低下させることができます。
モジュール停止を行いたくない場合は、ethtoolを用いて通信速度を抑えることで、発熱を軽減することができます。

[armadillo ~]# apt-get install ethtool

以下例では、有線LANの通信速度を100Mbpsに設定しています。

[armadillo ~]# ethtool -s eth0 autoneg off duplex full speed 100

CPU

poweroffコマンドで停止させることが可能です。
CPU停止後は、アドオンインターフェースやRTCによって再起動が可能です。
詳細は製品マニュアル「i.MX 7Dualの電源制御」をご確認ください。

他の発熱機器近くに設置しない

サーバなどの発熱機器に隣接してArmadilloを設置してしまうと、それらが高温となった場合にArmadilloも高温となる危険性があります。
他の発熱機器と出来るだけ離れた位置や、発熱機器の影響を受けない位置にArmadilloを設置することをお勧めします。

ケースモデルの設置方法注意点

Armadillo-IoT G3/G3Lは、それぞれ専用のケースに内包されたモデルが販売されています。
各ケース固有の注意点を以下に記載します。

Armadillo-IoT G3

Armadillo-IoT G3のケースは下部の空間からの放熱を考慮しています。
そのため、ケース下部にある開口部4箇所を塞がないようにしてください。

ケース開口部

Armadillo-IoT G3L

Armadillo-IoT G3Lのケースは金属ブラケットに熱を伝達させ、放熱するように考慮しています。
そのため、金属ブラケットに温度の高い機器などを隣接させないでください。