今までATDEで利用していた開発関連のファイル(Atmark Dist、Linuxカーネル、自作プログラム)を新しいATDEのバージョン(ATDE v2)に移動する方法について説明します。基本的に、関連ファイルを一旦ホストPCにコピーしてから新しいATDEにコピーすることでバージョンアップできます。
このHowtoの例では、以下の環境を想定しています。ご利用の環境に合わせて適宜読みかえてください。
- 対象製品:Armadillo-9
- ホストPC:Windows XP
- 新しいATDE:ホストPCにインストール済み
- Atmark Distバージョン:20071018
- Linuxカーネルバージョン:2.6.12.3-a9-11
1. ファイル共有方法の確認
ホストPCとATDE(VMware Player)の間でファイルを転送するため、ファイル共有の方法が必要になります。ファイルの共有には、
- VMware Playerの共有フォルダ機能、または
- ネットワーク上の一般的なファイル共有方法
が利用できます。
共有フォルダ機能は 「VMware Player --> 共有フォルダ」メニュー で設定できます。このHowtoではホストPCの C:\tmp ファルダーをATDEの /mnt/hgfs/share ディレクトリでアクセスできろことを想定しています。
PC | ATDE | |
---|---|---|
C:\tmp | → | /mnt/hgfs/share |
ネットワーク上のファイル転送を利用する場合、VMwareのネットワーク設定(Ethernet)でブリッジ接続を有効にすると、Windowsの標準ファイル共有機能で簡単にファイルを転送できます。また、転送するファイルを一時的に保存するために利用するホストPCのファイルがネットワークからファイルを書き込めるようになっていることを確認してください。対象のフォルダを右クリックして、「プロバティ --> 共有」で設定できます。
2. Atmark Distとカーネルの準備
まず、今まで利用していたATDEを立ち上げて、開発関連のファイルを準備します。
makeコマンドにdistclean
ターゲットを指定して、Atmark Distのソース(とその中に追加されている自作プログラム)とLinuxカーネルソースを初期化します。make distclean
してしまうと、カーネル設定とユーザランド設定も初期化されてしまいます。make menuconfig
などで設定を変更している場合は、以下のように保存しておいてください。
[PC ~/atmark-dist-20071018]$ make menuconfig
Kernel/Library/Defaults Selection ---> [*] Customize Kernel Settings (NEW) [*] Customize Vendor/User Settings # < Exit > を2回選択後に、< Yes >を選択してください。 < Exit > --> < Exit > --> < Yes > Save Configuration to an Alternate File my.kernel.config < Ok > --> < Exit > --> < Yes > Save Configuration to an Alternate File my.userland.config < Ok > --> < Exit > --> < Yes >
[PC ~/atmark-dist-20071018]$ make distclean [...] rm -rf romfs config.in config.arch config.tk images rm -f modules/config.tk rm -rf .config .config.old .oldconfig autoconf.h make ARCH=arm CROSS_COMPILE=arm-linux- -C linux-2.6.x distclean make[1]: ディレクトリ `/home/atmark/temp/howtos/linux-2.6.12.3-a9-10' に入ります make[1]: ディレクトリ `/home/atmark/temp/howtos/linux-2.6.12.3-a9-10' から出ます [PC ~/atmark-dist-20071018]$
そして、ファイル権限などの状態を保持して転送できるようにtarコマンドを利用して、以下のように圧縮します。
[PC ~/atmark-dist-20071018]$ cd .. [PC ~]$ tar czf atmark-dist-20071018.tar.gz atmark-dist-20071018 [PC ~]$ tar czf linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz linux-2.6.12.3-a9-11
3. ホストPCへのコピー
Atmark DistとLinuxカーネルの圧縮ファイルを新しいATDEに転送できるように、ファイルを一時的にホストPCに保存します。
3.1 共有フォルダ機能を利用する場合
Atmark DistとカーネルのファイルをホストPCのフォルダにコピーします。
[PC ~]$ cp -v atmark-dist-20071018.tar.gz linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz /mnt/hgfs/share/ `atmark-dist-20071018.tar.gz' -> `/mnt/hgfs/share/atmark-dist-20071018.tar.gz' `linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz' -> `/mnt/hgfs/share/linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz'
3.2 ネットワーク上のファイル転送を利用する場合
ATDE(Debian)のメニューで「ネットワーク・サーバ」を選択して、起動するファイル・マネージャでホストPC、そして共有されているフォルダを見つけます。
次、「atmarkのホーム」アイコンをクリックして、起動するファイル・マネージャでAtmark Distとカーネルのファイルを見つけて、ホストPCの共有フォルダにコピーします。
4. 新しいATDEへのコピー
今まで利用していたATDEを終了させて、新しいATDEを立ち上げます。
4.1 共有フォルダ機能を利用する場合
Atmark DistとカーネルのファイルをホストPCのフォルダからコピーします。
[PC ~]$ cp -v /mnt/hgfs/share/atmark-dist-20071018.tar.gz /mnt/hgfs/share/linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz . `/mnt/hgfs/share/atmark-dist-20071018.tar.gz' -> `./atmark-dist-20071018.tar.gz' `/mnt/hgfs/share/linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz' -> `./linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz'
4.2 ネットワーク上のファイル転送を利用する場合
ATDE(Debian)のメニューで「ネットワーク・サーバ」を選択して、起動するファイル・マネージャでホストPC、そして共有されているフォルダを見つけます。
次、「atmarkのホーム」アイコンをクリックして、起動するファイル・マネージャでAtmark Distとカーネルのファイルをコピーします。
5. 新しいATDEでのセットアップ
ホストPCから転送したファイルをtarコマンドを利用して展開します。
[PC ~]$ tar zxf atmark-dist-20071018.tar.gz [PC ~]$ tar zxf linux-2.6.12.3-a9-11.tar.gz
Atmark Distのディレクトリでカーネルソースへのシンボリックリンクを作成します。
[PC ~]$ cd atmark-dist-20071018 [PC ~/atmark-dist-20071018]$ ln -sv ../linux-2.6.12.3-a9-11 linux-2.6.x create symbolic link `linux-2.6.x' to `../linux-2.6.12.3-a9-11'
これでいAtmark DistとLinuxカーネルのソースを利用できます。makeコマンドにconfig
ターゲットを指定して、Atmark Distを新しくセットアップしてください。
[PC ~/atmark-dist-20071018]$ make config
カーネル設定とユーザランド設定を保存した場合、make config
を実行後、以下のようにロードできます。
[PC ~/atmark-dist-20071018]$ make menuconfig
Kernel/Library/Defaults Selection ---> [*] Customize Kernel Settings (NEW) [*] Customize Vendor/User Settings # < Exit > を2回選択後に、< Yes >を選択してください。 < Exit > --> < Exit > --> < Yes > Load an Alternate Configuration File my.kernel.config < Ok > --> < Exit > --> < Yes > Load an Alternate Configuration File my.userland.config < Ok > --> < Exit > --> < Yes >