auのWINデータカードを使用して、インターネットに接続する方法を紹介します。WINデータカードカードは、CFカードインターフェースタイプのW05Kを使用します。W05Kは、二つのシリアルポートを使用して通信速度を上げるマルチポートをサポートしていますが、本Howtoでは一つのポートのみ使用して通信する方法を紹介します。
おおまかな手順は下記のようになります。
- ppp機能及びシリアルドライバを有効にする
- ppp 関連の設定をおこなう。
- ppp 接続をおこなう。
なお、本 Howto では、以下の環境を想定しています。ご利用の環境に合わせて適宜読みかえてください。
- 対象製品:Armadillo-9 (基板Rev.E)
- atmark-dist:v20081018
- linux-kernel:v2.6.12.3-a9-14
- データ通信カード:W05K
- プロバイダ:au.NET
1. ppp機能及びシリアルドライバを有効にする。
カーネルに、以下のデバイスドライバを組み込みます。
- PPP (point-to-point protocol) support
- PPP support for async serial ports
- PCMCIA serial driver
また、ユーザランドのアプリケーションとして、pppd を組み込みます。
make menuconfig を使用した場合の設定は下記のようになります。
[PC ~/atmark-dist]$ make menuconfig
Main Menu では、下記のように設定してください。
Main Menu
Vendor/Product Selection --->
--- Select the Vendor you wish to target
(AtmarkTechno) Vendor
--- Select the Product you wish to target
(Armadillo-9.PCMCIA) AtmarkTechno Products
Kernel/Library/Defaults Selection --->
--- Kernel is linux-2.6.x
(default) Cross-dev
(None) Libc Version
[*] Customize Kernel Settings (NEW)
[*] Customize Vendor/User Settings (NEW)
次に、カーネルの設定をおこないます。
Linux Kernel Configuration
Device Drivers --->
Networking support --->
<*> PPP (point-to-point protocol) support
<*> PPP support for async serial ports
Character devices --->
Serial drivers --->
<*> 8250/16550 and compatible serial support
<*> 8250/16550 PCMCIA device support
最後に、ユーザランドの設定をおこないます。
Userland Configuration
Network Applications --->
[*] pppd
make します。
[PC ~/atmark-dist]$ make
2. ppp 関連の設定をおこなう。
pppd の動作に必要な設定を行います。
プロバイダにau.NETを使用する場合は、ユーザ名は「au@au-win.ne.jp」、パスワードは「au」となります。また、アクセスポイントは「*99**24#
」、DNSは「210.196.3.183」を使用します。御利用のプロバイダに合わせて適宜読みかえてください。
/etc/pcmcia/config に以下を追加
card "W05K"
manfid 0x03e5, 0x0002
bind "serial_cs"
/etc/ppp/ppp-on-dialer
#!/bin/sh
#
# This is part 2 of the ppp-on script. It will perform the connection
# protocol for the desired connection.
#
exec chat -s -v -t 60 \
TIMEOUT 3 \
ABORT '\nBUSY\r' \
ABORT '\nNO DIALTONE\r' \
ABORT '\nNO ANSWER\r' \
ABORT '\nRINGING\r\n\r\nRINGING\r' \
'' ATZ \
'OK-+++\c-OK' ATH0 \
TIMEOUT 30 \
OK ATDT*99**24\# \
CONNECT '\d\d' \
/etc/ppp/options
lock
name au@au-win.ne.jp
defaultroute
/etc/ppp/pap-secrets
# Secrets for authentication using PAP
# client server secret IP addresses
au@au-win.ne.jp * au
/etc/resolv.conf
nameserver 210.196.3.183
nameserver 210.141.112.163
ppp-on-dialerはシェルスクリプトですので、実行権限を与えます。
[PC ~/atmark-dist]$ chmod +x romfs/etc/ppp/ppp-on-dialer
変更したら、イメージを作成し、Armadillo に書き込みます。カーネルも書き換えるのを忘れないようにしてください。
[PC ~/atmark-dist]$ make image
[PC ~/atmark-dist]$ hermit download -i images/linux.bin.gz -r kernel
[PC ~/atmark-dist]$ hermit download -i images/romfs.img.gz -r userland
3. ppp 接続をおこなう。
デバイスドライバを組み込んだArmadillo-9にW05Kを接続し、pcmgrを起動します。
[armadillo ~]# /etc/rc.d/rc.pcmcia start
eth0が有効になっている場合は、eth0を無効にしておきます。
[armadillo ~]# ifconfig eth0 down
ttyS0 と ttyS1 にアタッチされますが、最初の ttyS0 がシリアルモデムになります。そのため、ttyS0 を使用して ppp 接続を行います。
[armadillo ~]# pppd /dev/ttyS0 115200 connect /etc/ppp/ppp-on-dialer
正常に接続できると、「ppp0」というネットワークインターフェースが作成されます。
[armadillo ~]# ifconfig
lo Link encap:Local Loopback
inet addr:127.0.0.1 Mask:255.0.0.0
UP LOOPBACK RUNNING MTU:16436 Metric:1
RX packets:76 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
TX packets:76 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
collisions:0 txqueuelen:0
RX bytes:6344 (6.1 KiB) TX bytes:6344 (6.1 KiB)
ppp0 Link encap:Point-Point Protocol
inet addr:xxx.xxx.xxx.xxx P-t-P:172.23.47.172 Mask:255.255.255.255
UP POINTOPOINT RUNNING NOARP MULTICAST MTU:1500 Metric:1
RX packets:95 errors:6 dropped:0 overruns:0 frame:0
TX packets:106 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
collisions:0 txqueuelen:3
RX bytes:7974 (7.7 KiB) TX bytes:7722 (7.5 KiB)
tips: | eth0がdhcpでIPアドレスを取得する設定になっている場合、起動時に/etc/resolv.confが上書きされてしまうため、再度設定が必要です。また、/var/lockフォルダがない場合は作成する必要があります。 |
以上で、auのW05Kを使用して、インターネットに接続することができます。今回のHowtoは、Armadillo-9 に適用することができます。
関連情報
- au W05K 取扱説明書 ユーザ名、パスワード、DNS情報、ATコマンド等の情報が記載してあります。
- WILLCOM の PHS 端末を使用してインターネットに接続する
- EMOBILE の データ通信カードを使用してインターネットに接続する
本Howtoで使用したイメージは以下からダウンロードできます。