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Armadillo-IoT(G3):無線LANルーターのように動かす(dnsmasqで実現)

at_kazutaka.bito
2020年6月1日 9時34分

Armadillo-IoT(G3)を無線LANルーターのように動かす方法です。
ここでは、dnsmasqのDHCPサーバーとDNSキャッシュの機能を使って実現します。

 

補足)
Armadillo-IoT(G3)は、複数のディストリビューションにに対応しています。
本ブログでは、Debian GNU/Linux 9 (stretch) の方法になります。

Debian GNU/Linux 10 (buster)の方法については、下記を参考ください。
Armadillo-IoT(G3):無線LANルーターのように動かす(dnsmasqで実現:buster版)

 

ネットワーク構成

本手順は、下記構成でネットワーク端末からインターネットにアクセスすることを想定した例です。

ネットワーク端末--(無線LAN)--Armadillo-IoT(G3)--(3G/LTE)--インターネット

補足1)
 Armadillo-IoT(G3)の無線LANはアクセスポイントモードで動作します。
 ネットワーク端末からは、下記SSIDとパスフレーズで接続します。
  SSID:testssid
  パスフレーズ:testpassphrase

補足2)
下記手順では、ネットワーク端末の無線LANのIPアドレスは、DHCPサーバーから自動取得する設定であることを想定しています。
Armadillo-IoT(G3)のDHCPサーバーからネットワーク端末のIPアドレス(※)を自動的に与えるようになっています。
 ※)192.168.100.100~192.168.100.254

 

1. 必要なパッケージのインストール

Armadillo-IoT(G3)をインターネット接続可能なネットワークに接続して、
下記コマンドで必要なパッケージをインストールしておきます。

root@armadillo:~# apt-get update
root@armadillo:~# apt-get install dnsmasq hostapd

 

上記の手順で、インターネット接続可能なネットワークに有線LANを使った場合は、
パッケージのインストール後、有線LANケーブルの接続を外します。
(下記の手順にて、インターネット接続可能なネットワークが3G/LTEと有線LANの2系統になる場合は考慮してないため。)

 

2. 3G/LTEの設定

下記コマンドで3G/LTEの設定をします。(※)

root@armadillo:~# nmcli connection add type gsm ifname [ネットワークデバイス名] apn [APN] user [ユーザー名] password [パスワード]

※)下記の箇所を読み替えて実行してください。
 [ネットワークデバイス名] → Armadillo-IoT(G3 M1モデル)の場合は、ttyUSB2
 [APN] → 使用しているSIMのAPN
 [ユーザー名] → 使用しているSIMのユーザー名
 [パスワード] → 使用しているSIMのパスワード

 

3. 無線LANの設定

3.1. NetworkManagerの管理対象から無線LANを外す

/etc/NetworkManager/NetworkManager.confのファイル末尾に下記の記述を追加します。

[keyfile]
unmanaged-devices=interface-name:wlan0

 

NetworkManagerをリスタートします。

root@armadillo:~# service NetworkManager restart

 

3.2. hostapd(アクセスポイントモード)の設定

/etc/hostapd/hostapd.confを下記の内容で作成します。

interface=wlan0
driver=nl80211
ssid=testssid
hw_mode=g
channel=10
ieee80211n=1
wpa=2
wpa_passphrase=testpassphrase
wpa_key_mgmt=WPA-PSK
rsn_pairwise=CCMP

 

/etc/default/hostapdの末尾に下記の記述を追加します。

DAEMON_CONF="/etc/hostapd/hostapd.conf"

 

カーネルの起動時にhostapdの設定を有効にするようにします。

root@armadillo:~# update-rc.d hostapd enable

 

4. dnsmasq(DHCPサーバー、DNSキャッシュ)の設定

4.1. /etc/dnsmasq.confの変更

/etc/dnsmasq.confの変更点
ファイル末尾に下記の記述を追加します。

listen-address=127.0.0.1, 192.168.100.1
interface=wlan0
dhcp-range=192.168.100.100, 192.168.100.254, 12h

 

5. 再起動

再起動します。

root@armadillo:~# reboot

上記までの手順は、再起動以降は不要になります。

 

6. 無線LANをアクセスポイントモードで起動

下記コマンドで、無線LANを再起動します。
補足)下記では、Armadillo-IoT(G3)の無線LANのIPアドレスを192.168.100.1に設定しています。

root@armadillo:~# ip link set wlan0 down
root@armadillo:~# ip addr flush dev wlan0
root@armadillo:~# ip link set wlan0 up
root@armadillo:~# ip addr add 192.168.100.1/24 dev wlan0

アクセスポイントモードを起動します。

root@armadillo:~# service hostapd start

 

7.iptableを設定

下記コマンドでiptableを設定します。
(下記例では、SSH(22番ポート)、SSL(443番ポート)、DNS(53番ポート)を許可しています。用途に応じて設定します。)

root@armadillo:~# iptables -t filter -F
root@armadillo:~# iptables -A INPUT -i ppp0 -j DROP
root@armadillo:~# iptables -A INPUT -i lo -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -A OUTPUT -o lo -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -I INPUT -i ppp0 -p icmp -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -I INPUT -i ppp0 -p tcp --dport 22  -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -I INPUT -i ppp0 -p tcp --dport 443 -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -I INPUT -i ppp0 -p udp --sport 53 -j ACCEPT
root@armadillo:~# iptables -I INPUT -i ppp0 -p tcp --dport 53 -j ACCEPT

 

8.ポートフォワードに設定

下記コマンドでポートフォワードに設定します。

root@armadillo:~# echo 1 > /proc/sys/net/ipv4/ip_forward
root@armadillo:~# iptables -t nat -A POSTROUTING -o ppp0 -j MASQUERADE

 

9. nameserverの追加

下記コマンドでnameserverを追加します。

root@armadillo:~# echo "nameserver 127.0.0.1" > /etc/resolv.conf.head

 

dnsmasqを再起動します。

root@armadillo:~# systemctl restart dnsmasq.service

 

以上の設定後、下記のような構成で、ネットワーク端末からインターネットに接続できます。

ネットワーク端末--(無線LAN)--Armadillo-IoT(G3)--(3G/LTE)--インターネット

補足1)
 Armadillo-IoT(G3)の無線LANはアクセスポイントモードで動作します。
 ネットワーク端末からは、下記SSIDとパスフレーズで接続します。
  SSID:testssid
  パスフレーズ:testpassphrase

補足2)
上記手順では、ネットワーク端末の無線LANのIPアドレスは、DHCPサーバーから自動取得する設定であることを想定しています。
Armadillo-IoT(G3)のDHCPサーバーからネットワーク端末のIPアドレス(※)を自動的に与えるようになっています。
 ※)192.168.100.100~192.168.100.254